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状況は、輸出ドライヴと円高のインパクトのつよい製造業の中高年層においてとりわけきびしかった。
彼らは相対的に高賃金であるうえに、〈高度なフレキシビリティへの適応能力〉の敏速な獲得に、遅れをとりがちであった。
それだけに〈生活態度としての能力〉を発揮する覚悟はおそらく若者よりもきっぱりしていたが、ここでも体力と「家庭の事情」が一つの制約となる。
彼らの懸命のがんばりにもかかわらず、第1期の多くの企業は、中高年層の昇給を停滞させることに容赦がなかった。
『賃金労働時間等総合調査』(労働省)の示すところ、7〜8割の企業では40代末から50代はじめの人に昇給額の切り下げ、80年代半ばには、28%の企業で50代半ばの人に昇給停止が行使されている。
賃金と年齢の間に正の相関関係があるという意味にかぎっての年功賃金が、この時期に全体としてドラスティックに崩壊したということはできない。
また、第1期の雇用調整の主対象であったブルーカラー層で80年代以降、賃金のピークが50代前半から40代後半に若返っているようすは伝えている。
一方、なお人員整理が控えられて次の段階で「過剰」と意識されるにいたるホワイトカラー層では、総じて1980年以降、そしてとりわけ85年以降、40代からの昇給の程度(20〜24歳層に対する賃金指数)が低下していることもわかる。
「賃金の上がり方」はなお外形を保ったけれども、雇用保障と賃金決定における能力主義的選別が静かに進行して、それを包んでいた年功制を空洞化させつつあったといえよう。
次節では、ここまで小史をたどってきた能力主義管理をいちおう完成した「現代日本型」ととらえて、あらためてその特徴をまとめてみる。
3日本型能力主義の特徴フレキシピリティヘの適応力−その個人評価日本の能力主義管理の特徴を把握しようとするとき、まず前提として留意すべきは、私たちの国には一定範囲の仕事遂行を予定した技能の社会的な定義とランクづけがなく、したがって仕事上必要な能力というものもひっきょう、個別企業ごとの従業員に対する要請としてあらわれるほかないということである。
企業の要請は、職務割当てと配置の変動に応じて柔軟で弾力的に働くことのできる潜在能力の開発と発揮を基本とする。
この潜在能力の評価と、多面的な側面をもつ人間そのものの評価との距離はそう遠くない。
経営者が能力主義の日本型を擁護しはじめた頃、日経連は、能力は体力、適性、知識、経験、性格、意欲という6つの要素から成ると述べたものである。
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